発熱

発熱とは俗に言う体温の上昇のことを指しますが、その原因によっては正常・異常の判断をして対処しなくてはなりません。

また発熱の程度によりその呼び方も変わります。

例えば、37.0℃〜37.9℃までを軽熱(微熱)と呼んだり、38.0℃〜38.9℃(中熱)、39.0℃以上を高熱と言った具合です。

身体の重要な危機的サインの一つである発熱について、知っておくべき内容をまとめました。

主な発熱の原因

  1. 感染症
  2. 悪性腫瘍
  3. 膠原病
  4. 薬物アレルギー
  5. 血液疾患 など

が疑われます。

どれも炎症所見を示すものですので、血液検査によってある程度原因の検討をつけることもできます。

発熱に伴う身体的症状

  • 倦怠感
  • 心悸亢進(どきどきする)
  • 息苦しい
  • 食欲不振
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 関節痛

などが起こります。

風邪をひいて発熱すると、食欲がなかったり味がしないなどの症状も起こるわけです。

ではその発熱の原因は何でしょうか。

ここでは短期間で起こる発熱の原因について見ていきましょう。

発熱の主な原因

呼吸器症状を伴う場合

咳が出る、痰がでる、息苦しいなどは、いわゆる風邪の症状でウイルス性や細菌による肺炎、気管支炎、扁桃炎などが疑われます。

消化器症状を伴う場合

急性の虫垂炎、腸炎、肝炎、胆嚢炎、膵炎など。腹痛や悪心、嘔吐などの症状が出る場合があります。

特に急性膵炎になりますと、激痛を伴う場合が多いです。

泌尿器症状を伴う

尿路感染、急性腎盂腎炎、急性前立腺炎(男性)、膀胱炎、腎周囲膿炎など。

例えば、おしっこが近い。排尿の際に、痛みや違和感がある。排尿後に尿意が残るなどの場合、膀胱炎の可能性があります。男性に比べて尿道が短い女性に多い疾患ですので、覚えておくと良いでしょう。

また急性前立腺炎(男性)では、高熱を伴うことが多いです。

中枢神経系症状を伴う場合

髄膜炎、脳炎、ウイルス性脳炎など。こちらは腰椎から髄液を採って調べる髄液検査が必要になります。

その他局所的炎症ほか

化膿性炎症、副睾丸炎(男性)、急性卵管炎(女性)、脱水症など。歯周病などによる歯茎の腫れなどでも発熱する場合があります。

血液検査

一般的に赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、白血球、CRP、電解質(Na、K、Cl)などを調べます。

例えば、白血球が上昇していれば細菌性感染を疑い、白血球が正常でCRP(炎症所見)が上昇していればウイルス性感染を疑います。また悪性腫瘍による発熱では、感染性ではないので白血球の上昇は基本的に起こりません。

コロナウイルスによるウイルス性感染の場合、CRPが上昇していても白血球は正常という結果になるはずです。

また気温の高い場合など、多量の発汗による脱水症によっても高熱が出ます。適切な水分量とそれに伴う尿量や尿の色の濃さによってもその判断がつきやすくなります。

対処法

まずは観察

発熱の症状によってはすぐに医療処置が必要な場合があります。そのためには、呼吸器症状や疼痛の有無、下痢、嘔吐などがないことを確かめます。呼吸器症状の場合、唇の色や爪の色(紫色になっていないか)を確認し、できれば酸素飽和度(パルスオキシメーター)を測定することが必要になります。

血中酸素飽和度(SpO)は血液中の酸素濃度を知る指標で、成人で93%を下回る場合は医療機関に受診して酸素投与が必要になる場合があります。

パルスオキシメーター
パルスオキシメーター ミノルタ製

クーリング

発熱時は、まず安静にして体力の消耗をおさえます。手足が冷たくなり、悪寒や体の震えをきたしている場合は、まさに体温が上昇している最中ですので、この時は室温を調節し電気毛布や温罨法にて身体を温めます。

熱が上がりきってしまえば、四肢も暖かくなり、悪寒や体の震えが止まります。そうなれば今度は、氷枕やアイスノンなどの冷罨法(冷却)を行い、寝具の調節をしてクーリングします。

冷やす場所は、太い動脈の通り道である、頸動脈(首の動脈)、両脇の腋窩動脈、足の付根の大腿動脈に当てると効果的です。クーリングの際は冷えすぎに注意し、アイスノンなどをタオル等で巻いて直接皮膚に当たらないようにします。

薬物療法

解熱剤として比較的安全なのが、アセトアミノフェン(カロナール)です。ロキソニンやボルタレンなどもよく使われる薬剤ですが、ボルタレンはインフルエンザでは使えないなどの制約があるので注意が必要です。

それぞれ発熱の原因によっては治療薬が異なります。医師の指示のもとに服用される方がよろしいです。

水分補給

発熱の場合、体温上昇とともに水分も奪われます。可能であれば水分や電解質の補正を行います。補正ができない場合は、点滴などの治療をしなければならないことになります。

食事療法

消化機能が低下している場合もありますので、食べれる場合は消化の良い高タンパクで高カロリー、ビタミンを多く摂るようにします。

その他

発熱している場合、免疫力の低下が起こっています。2次感染を起こさないよう、身体の清潔に努めるのと口腔内のケアを行います。

ポイント

発熱は、身体に起こっている危機的サインの一つです。この症状の影には重大な疾病が隠れている場合もあり、一時的に解熱し良くなったように見えても、隠れた病気の進行が起こっている可能性もあります。

自分の体力を過信せず、解熱後も身体の変化に気づくように注意観察を心がけるとよろしいと思います。

パルスオキシメーター購入時の注意

パルスオキシメーター購入の際、安価な物の中には測定誤差が出る機種も多く出回っています。口コミなどをよく確かめて、購入すると良いと思います。大体は1万円前後の物なら大丈夫かと思います。

国産メーカーならミノルタですが、約3万円前後します。

SpO97% 脈拍86回

写真はミノルタ製。白、ピンク、グリーンの3色があります。
現在半導体の生産不足により、手に入りづらい商品になってます。