何らかの原因で肺でのガス交換ができず、息が苦しい状態です。呼吸困難には、急性型と慢性型があります。急性呼吸困難は、症状が重篤な場合が多いため特に注意が必要です。
ここでは、この急性呼吸困難に関してご説明します。
主な急性呼吸困難の原因
- 呼吸器系(気道異物、喉頭蓋炎、咽頭蓋膿瘍、気管支喘息、アナフィラキシー、COPDの増悪、肺炎、気管支炎、気胸)
- 循環器系(急性心筋梗塞、急性心不全、肺塞栓症)
- その他(急性出血)
- 心因性(ヒステリー発作、過換気症候群、パニック障害)
など多様に関わります。
症状から読み取る
- 突然の発症(自然気胸、肺塞栓症)
- 急性に発症(喘鳴あり・痰増加あり→気管支喘息、気管支炎、COPD増悪)
- 急性に発症(喘鳴あり・痰増加なし→喉頭蓋炎、喉頭蓋膿瘍)
- 急性に発症(喘鳴なし・痰増加あり→肺炎)
- 急性に発症(喘鳴なし・痰増加なし→間質性肺炎)
- 急性に発症(喘鳴なし・痰増加なし→心因性呼吸困難
- 食物摂取後、薬剤投与直後(気道異物、アナフィラキシーによる気道閉塞)
気胸は急に息が吸いづらくなります。これは肺に小さな穴が空き、肺の周りに空気が漏れることで肺が膨らまなくなるからです。
呼吸に関してはどれも緊急性を要しますが、特に肺塞栓症や肺胞からの出血、気道異物、アナフィラキシーによる気道閉塞は処置が遅れれば生命の危険が生じるため重篤といえます。
検査
呼吸器疾患の場合、採血に動脈血ガス分析やX線、CT検査などの画像診断のほか、心電図、肺機能検査などを行います。
また、心不全による肺のうっ血や胸水の診断として心臓の大きさを測る心胸比(CTR)測定を行います。胸水が蓄積し肺に水が溜まると、陸上にいながら溺れた状態となる息苦しさが続きます。
対処法
気道異物の場合
まずは気道の確保です。一般家庭でできることは限られますが、気道異物に関しては食べている途中で突然意識を失い倒れます。発見した場合は、速やかに口の中の異物を取り除かなければなりません。口を開けて、指を使い異物をかきだします。この時無意識に噛まれる可能性があるので、ハンカチやタオル等を丸めて噛ませてからかきだします。一刻を争う処置が必要になります。
対象者を側臥位にして肩甲骨の間を強く連打して吐き出させたり、また対象者を座らせた状態にしその後ろから抱えるように握りこぶしを作り、上腹部を圧迫突き上げるハイムリック法という手法もあります。しかし1度しかできない手法になります。
アナフィラキシーの場合
食品や薬物アレルギーでのアナフィラキシーの場合は、症状が出始めてすぐに気道閉塞を起こすことがあります。この場合はすぐに呼吸困難に陥り、生命の危険があります。すぐに119番に連絡して気道を確保しなければなりません。喉がイガイガする、喉をかきむしるような仕草がある。呼吸をするとヒューヒューと音がするようになれば要注意。
緊急性に応じてすぐに119番に連絡し、到着した救急隊に詳しい事情を伝えることが大切です。
徐々に悪化
徐々に息苦しさが増してくる場合は、血中酸素飽和度が現在どの程度かを調べることで緊急性の判断が付きます。
その場合、できればパルスオキシメーターを常備しておくと良いでしょう。また肺の音を確認するために、聴診器などがあると便利です。喘息のご家族がいる場合は、パルスオキシメーターを含め常備されている医療器具の一つになります。
また、仰臥位で臥床しているより、座ったりするほうが呼吸はしやすくなります。背中に布団やクッションを置いて座った状態を作り、衣類をゆるめて呼吸しやすくし安静にします。